・・・・・・・・・
俺は暗闇の中に立っていた、、
(‘また’この夢か、、、)
『・・・・こっちに来てください・・・』
頭の中に直接少女のような声が響く、次の瞬間俺の手に暖かい物が触れ身体が引っ張られる
そしてゆっくりと俺を引っ張る正体が見え始める、
今回はその正体がハッキリと見えた、いつもならかすれて良く分からなかった、
(こいつか・・・俺を呼んでいたのは・・・)
おそらく声の主であろう少女らしき後ろ姿がそこにあった
そんなことを考えているといつの間にか目の前が明るくなる
(ここは・・・)
毎回見ているはずなのに何故か今日はハッキリ見えたためかいつもと全く違う印象を受ける
そこは四方を機械で囲まれた部屋どうやら何かの研究所のようなところだった
そこで急に俺を引っ張る少女が止まる
『つきました・・さぁ・・‘わたし’を・・目覚めさせてください・・・・』
(目覚めさせる・・・?)
少女の指さす先にはガラス張りの巨大な物体がある、どうやらカプセルのような物のようだ
俺がそのカプセルに触れようとしたその時
ガバッ!
「ハァ、、、ハァ、、、、」
まただ、、、またここで目が覚める、
(今日はやけにハッキリと見えたな、、、)
いつもと違ったのはそこだけだった、他は何もいつもと変わらない、
ここ一週間くらい前から見る不思議な夢だった、いつも同じ場面で終わる、
「全く、なんなんだろうな、そういえば、‘おまえ’がきてからかな、この夢を見るようになったのは、
でも、まさかな、、」
そういって俺は制服に着替えながらベッドの枕元においてある一体の人の頭くらいの大きさの
人形の頭をやさしくなでる、親父が一週間くらい前に出張の土産で俺にかってきた人形だ、
何でも骨董品屋でかってきた古い人形だそうだ、人間の少女の人形で何となく惹かれる物があった
何となく気に入ったので枕元において大切にしてやる
部屋を出る前にこうしてその人形の頭をなでるのがここ一週間俺の日課になっていた、
「いってきます」
そういって俺は自分の部屋を出る、
いつものように母さんが焼いてくれたパンをかじりながら家を出る
「いってきます」
「いってらっしゃい」
いつものように両親がそういう、何の変わりもない一日がいつものように一日が過ぎていくはずだった
学校に着き、いつものように席に着くと教室に先生が入ってきてHRが始まる
「え〜今日はみんなに転校生を紹介する、はいってきいなさい」
先生がそう促すと一人の少女が入ってきた
だが俺は何となく興味がわかないのでずっと外を眺めていた
(ふ〜ん、転校生か、こんな時期に、めずらしいな)
なんて事を考えていると自己紹介が終わったらしかった
「そうだな、そこが空いているそこにすわりなさい」
『はい』
そういうと少女はゆっくりと歩き出し、先生に指示された席、俺の隣に座った
『よろしく』
「ああ」
そこで初めておれと彼女の目が合う、
(・・・ん・・?)
俺の脳裏に何かが引っ掛かった
(どこかで見たことがあるような、、、気のせいか)
「よろしく」
頭に浮かんだ疑問を無視し、俺はそれだけいって彼女から目をそらした
今日の授業も終わり、生徒の数もまばらになったころ、俺は彼女に声をかけられた
『屋上に来てくれませんか』
とのことだった
だから俺はこうして屋上にいる、
「遅いな、、呼び出しておいて、バッくれられたか?」
そんなことをつぶやいていると後ろに人の気配を感じた、
『やっとあえましたね』
いきなり声をかけられる驚いて後ろを振り返ると、そこには彼女が立っていた
「なんだ?なんのようだ?それに、やっとあえたって、今日初めてあっただろ?」
そこまで行って俺はあることに気づく、
(おかしい、、、なにかが、、)
彼女に気づかれないように辺りを見回すと、俺の疑問は解決した
なんと、さっきまで自由に飛び回っていたはずのカラスなどの動物の動きが止まっているではないか、
(な、、なんだ!?)
驚き目を白黒させる俺を後目に彼女はもう一度口を開く
『やっとあえた』
彼女が同じ台詞を言うと、今度は目の前の空間が暗転し、俺と彼女しか見えなくなる
「こ、、これはいったい、なにがおきてるんだ、、??」
『こっちに来てください』
彼女が俺の手を掴み、引っ張っていく、俺はただそれに身を任せる
(これは、、、、)
俺はこの光景に見覚えがあった真っ暗な空間、引っ張られる感触、少女の後ろ姿
少女の着ている物は違ったが、この光景はそう、何時も見ていたあの夢だった
「おまえは、、おまえはだれなんだ?なにがおこってるんだ?」
俺は彼女に問いかけるが、彼女はそれには答えなかった
しばらく沈黙が続き、走り続けると、あの夢と同じ機械に囲まれた光景が目の前に広がった
『つきました・・さぁ・・‘わたし’を・・目覚めさせてください・・・・』
夢の通りに彼女が部屋の一点を指さす、俺はゆっくりと彼女が指さす方向、
例のカプセルに近づいていく、振り返って後ろを見ると、すでに彼女の姿はそこにはなかった
「な、、なんだ?どういうことだ?」
(しかたない、、、今はあのカプセルの中を見てみるか、夢の続きを確かめてみよう)
俺はゆっくりとカプセルに近付き手を触れる、
すると今まで曇っていて見えなかったカプセルが急に透明になり中が見えるようになった、
「!!!」
そこで俺は息をのみ、固まってしまった、その中にいたのは‘彼女’だった
(どういうことだ・・?これは、、いったい、、、)
ようやく動けるようになりもう一度カプセルに手を触れる、
と、次の瞬間目がくらんでしまうようなまばゆい光があたりを包んだ
(うっ!!)
急いで腕で顔を覆い目を隠す、それでも眩しかったが徐々に光が和らいできたらしかったので、
俺は顔を覆っていた腕をどかし、周りの状況を確認する
目の前にあったカプセルのガラス窓は無くなっており、
中に入っていた彼女がゆっくりと上半身をおこし始めていた
俺と彼女の目が合う
「あ、、、こ、、これは、、いったい、、」
『やはりあなたは私を目覚めさせてくれる人だったんですね、うれしい』
そういって彼女はそのまま俺に抱きついてくる
(な、、なんだ??なにがおこってるんだ??)
あまりの突然の出来事に頭の整理がつかず混乱していると、
俺の腰に巻き付いていた彼女の腕がゆっくりととかれ、彼女がカプセルからでてくる
『さぁ、こちらにきてください‘マスター’』
「???マスターって、、なんのことだ?」
例の如く俺の問いかけを無視し、彼女が俺の腕を引っ張って部屋を出る、
「お、、おい!」
腕をふりほどこうとしたが、彼女の力は思ったより強く、思うようにいかない
「・・・・」
『・・・・』
あきらめて黙って歩いていると、
『つきましたマスターさぁ、アレに触れてください』
今までの部屋と違い、神秘的な部屋に連れてこられる、彼女に指さす先には
大きな浮遊する青い石があった、周りの壁も同じ材質でできており、
淡く光るその石に呼応するように周りの壁も淡い光を帯びていた、
俺が訳も分からずその石に触れると、周りの壁が強く光り、
中から何かが浮き上がってきて、外にでてきた
「な、、なに!!?なんだ?これは?」
それは多くのヒトだった、その多くのヒトは全て俺の知っている存在だった
「とうさん!かあさん!これは、、いったい、、」
そこには父親、母親、先生や学校の同級生など、見知った顔ばかりが俺の目の前に現れた
そいつらが皆口をそろえてこういう、
「お帰りなさい、マスター、何なりとお申し付けを」
『マスター、ここがあなたの世界です、今までの世界は全て幻だったのです、
さぁ、マスターも目覚めてください、共に暮らしましょう』
(な、、なんなんだこいつら、、)
一連の事を黙ってみていたが、なんだか怒りにも似た感情がフツフツと沸き上がってくるのを感じる
「な、、何がマスターだ!さっきから訳のわかんないことを!
俺は俺だ!さっさと元に戻しやがれ!!!!」
ガバッ!!
「ハァ、、ハァ、、、」
(な、、なんだ、、いつものゆめか、、、、)
何となく怖くなったので寝間着のまま部屋を出て居間へ向かう
「おはよう」
いつも返ってくるはずの返事が返ってこない、
しかしそこにはいつものように新聞を読む父の姿が、
「おい、どうしたんだよとうさん」
そういって父のかたに手を置く、
と、、
がらがらと音を立てて父のからだが崩れていった
「う、うおぉ!!?」
あまりのことに驚きを隠せないでいると、後ろから声が聞こえた、
『これでわかっていただけましたか?ここは仮装の現実なんです、、』
彼女だ、何故か後ろには彼女が立っていた
「う、、うわあぁ!!!」
驚き腰をぬかしかける俺にゆっくりと彼女が近付いてくる
『さぁ、、、共に来てください、、、』
!!!!!
自分でも何が起こったのかわからなかった、
気づくと俺は食卓においてある果物ナイフを握り彼女の脇腹に深く突き立てていた、
「っっっっっっ!!!」
突然の出来事に声が出せない、、
『っく、、、、』
一瞬彼女が苦しそうに顔をゆがめる
「あ、、あう、、、ああ、、、」
何をいって良いのかわからない、俺の手に彼女のなま暖かい体液の感触が伝わってくる
だが、彼女はゆっくりと微笑み、
『・・・ごめんなさい、、、やはり私には無理でした、、、
あなたを騙していたことを許してください、、
初めてであったときから、、、ずっとお慕いしておりました、、、
でも私にはあなたに夢を見せることくらいしかできない、、、
伝えたい気持ちを伝えることができない、、
でも、、、あきらめられませんでした、、それでこのようなことをしてしまい
混乱させてしまいまして、、、本当に申し訳ありません、、、
許してくれなんて、、、都合が良すぎるかもしれませんね、
あなたを弄んでしまったのに、、
私はもう消えます、でも、、、最後にもう一度だけ、、、』
はにかみながらちいさなこえで彼女がいう
『なでなでして、、ほしいです、、、』
何も言わず片手で彼女を抱き寄せもう一方の手で彼女の頭をなでてやる、
いつの間にか俺の頬には涙が伝っていた
『さようなら、、、、』
そういうと俺の腕の中にいたはずの彼女は光の粒になって消えていった
誰もいなくなったリビングには俺だけがいて、足下には血の付いた果物ナイフが転がっていた
ゆっくりと俺は気を失っていった、意識がなくなる寸前どこかで声が聞こえた気がした
『・・やっぱり・・・・・・・わすれられません・・・・・』
「ん、、、、う、、、」
いつものように目を覚ます
(なんだ、、、ゆめ、、か、、、?)
なんだかすっきりしないまま制服に着替えベッドの枕元に目をやる、、
「ん?、、人形が、、ない、、」
探していると時間が無くなってしまうのでリビングへいく、
「おはよう」
「おはよ」
そこにはいつものように返事を返してくる父親がいた、
(よかった、、、、いつものとうりだ、、おっと、、そうだ、、)
「とうさん、、こないだの出張のお土産の人形知らない?」
「ん?なんだそれは?俺はそんな物かってきてないぞ」
(え、、、どういうことだ?)
「ねぼけてるのか?ん?もうこんな時間か、遅刻するぞ、ほら、パン、さっさといけ」
「あ、、ああ、かあさんもしらない?」
「しらないわ、お父さんだって人形なんてかってきてないわよ」
「そ、、そう、、なんでもない、きにしないでくれ、いってきます」
そういって俺は家を飛び出した
(あの人形のことが忘れられてる、、、どういうことだ、、、)
(あの夢のこともそうだ、、、今日は不思議な夢だった、、、不思議な夢、、
人形が来てから、、、、!、、そうか!)
そこでやっと俺の中で全てがつながった、
あの少女はあの人形だったのだ、
(今日の日付は、、)
デジタル腕時計の日付を見る、それは、あの少女が転校してきた日の日付に戻っていた
(やっぱり、、、それじゃ、、、あの人形はもう、、、)
歩きながら何故か涙がにじんできた、
俺はそれを制服の袖でぬぐって学校への道を歩きだした
学校に着き、教室に向かい席に着くと、先生が教室に入ってきた、
「え〜〜今日はみんなに転校生を紹介する、、、」
・・・・・・・・
「それで?どうなったの?」
幼いひとみが輝き、俺に向けられる、
「これでこのお話は終わりだよ、続きは、、、おまえが考えるんだ」
「え〜〜〜」
少年はぷぅっと頬をふくらます
「ママ〜パパが意地悪する〜」
そういって少年は母親の膝元に駆け寄る
『あらあら、、、ふふふ、、』
母親は優しく微笑み少年の頭をなでる、
『あら?、、あなた、動いたわ!』
あのころと変わらない微笑みが、俺を呼ぶ
「お、、ほんとうか?どれ、」
そういって俺は彼女の下腹部に手を当てる、
かすかな振動が俺の手に伝わってくる
「ほんとだ、、早く元気な姿を見せておくれ」
そういって俺は彼女の下腹部をなで、続いて彼女の頭をなでてやる
『きゃっ、、もう、、子供扱いしないで、、』
「ははは、、、でも、、おまえこれ好きだろ?」
『う、、うん、、ふふふ、、』
彼女が突然笑い出す、
「ど、、どうした?」
『あなた、、私いま、最高に幸せよ、、、、、』
おわり
え〜〜、、
これはある友人に
なんかてきと〜にかいて
っていわれたらかいたものです(^−^;)(笑
戻る