アキラは、重いまぶたをゆっくりとひらいた、、
「う、、、うぅん、、、、」
『スーーーー・・・・・・スーーーー・・・・・・』
昨日二人は眠ることができなかった、、
いや、正確には眠らなかったのだ、、
熱く、甘い、最後になるであろう夜をかみしめていたのだ、、
その疲労もあってか、すでに時計の針は午後0時をまわっていた、
アキラは、疲れ切っている体をゆっくり起こし、
自分の胸で静かに寝息を立てている最愛の人を優しく起こした、、
「ハミル・・・おい、おきろ、、もう昼だぞ、、フフフ・・」
『・・・ん・・・ふぇ?・・・あ・・おはよぉ・・・アキラ・・』
まだあの時のままの愛のあかしをゆっくりととき、
二人はゆっくりとベットをおり、リビングへ向かった、
トットットットット・・・・
おそらく最後になるであろう朝食を、二人で作り、ゆっくりとかみしめる、、
「今日も美味しいな、・・・・・これで、、最後になっちゃうのかな、、」
『・・・・そんな・・・つらいよぉ・・ッゥ・・』
「ハミル・・泣かないでくれよ」
泣きそうになる目をゴシゴシと袖でぬぐうと、
ハミルは何かをもいついたような様子で、パッと顔を輝かせたかとおもうと、
急に少し申し訳なさそうに目を伏せ、決心したようにアキラに話しかけた、
『ねぇ・・・ワガママかも、、しれないんだけど、、、』
「ん?・・なんだい?」
『わたしも・・私も連れてって!アキラの世界に!』
「えっ・・・」
『・・・・』
アキラはしばらく考え込んでいた、、
(笑っちゃいそうだなぁ、、なんで今まで気づかなかったんだろう、、
でも、、、もしハミルをつれてったとして、、いったいどうなるんだろう、、、
お父さんや、、お母さんや、、じじちゃんはなんていうだろう、、、
いや、、ハミルも決心したんだ!俺も決心しなくちゃな、、
正直に言おう、今思うことを、したいことを、しよう、)
「ハミル、大好きだよ、一緒に行こう!!」
ハミルの表情が一気に明るくなった
『ヤッタァ!うれしいよぉ!ずっといっしょだぁ!うっ・・うれしいよぉ・・』
いったん涙を止めたハミルの目に、
今度はうれし涙がにじんできた、
そっとアキラが涙を拭いてやる、
「ハハッなくなよ、でも、安心できないぞ、いっしょに帰れるかはわかんないんだぞ・・」
『必ず成功させる、二人で願えばきっと叶うよ!』
「そうだな、じゃあ、さっそく食べ終わったからやってみるか、」
『うん♪』
二人は、喜びをかみしめながら、そしてもしも叶わなかったら・・・
という不安に襲われながら片づけを終えた、
「それじゃぁ・・・始めるか・・」
『うん・・・・』
「なぁ・・ハミル・・」
『え?』
「これで、、、いいんだよな、、、後悔、、しないよな」
『なにいってるの!後悔なんてするわけないじゃない!!はなれたくないんだよぉ・・
何回も言わせないでよぉ・・』
「う・・わかった・・」
あきらは優しくハミルを抱き寄せ、一言だけ言った、
「ハミル、ハミルもいっしょにきたいんだったら、いっしょに強く願ってくれないか、
俺がハミルといっしょに帰りたいって願うから、ハミルも俺といっしょに付いてきたいって
ねがってくれ、いいな?」
『わかった』
そして二人は目を閉じ、、強く願った
(もう一度、消えてしまったあの世界に、、戻りたい、ハミルといっしょに帰りたい!!)
【アキラと一緒に行きたい!もう独りぼっちはイヤだよ!はなれたくないよ!!】
しばらくすると、、アキラとハミルの足下から、暖かく、淡い光がだんだんとドーム状に広がり、
あたりを包み込んだ・・・・
なんにも見えない暖かい光の中にアキラは漂っていた、
(なんだ、、ここは、、俺はいったいどうなったんだ、、気持ちいい、、、、
なんて暖かいんだ、、、からだが、、とろけるみたいだ・・・・)
アキラの意識はだんだんと薄れていった、、
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
アキラはゆっくりと目を開けた、、あのとき、アキラが深い闇に飲まれ、少女と出会った
あの日のままの天井があきらの目に飛び込んでくる、
「ん・・・せ、、成功したのか、、お、、おれ、、帰れたんだ、、」
アキラはなんだか少しだるい体を動かさず、少し考え事をしていた、
(ようやっと帰れたんだな、、おれ、、ハミルは、、どこにいるのかな、、
俺の隣に、、このベットの上にいるのかな、、もしいなかったら、、、
もしも今までのことが全部夢だったら、、、)
そんなことを考えていると、アキラは凄い不安に襲われてきた、、
目を横に向けるのが怖い、、そんなことを思っていると、、
いきなり暖かいものが頬に当たった
チュッ
そして、聞き慣れた声が耳元で囁かれる、
『おはよう、アキラ、帰ってきたみたいだね、ちゃんと私もいるよ、ずっといっしょだよ♪』
急いで横を振り向く、すると、今までのこの部屋にはなかった、いや、
この世界には存在しないはずだった最愛の人の顔があった、
「ハミル!!」
アキラはうれしくってうれしくってなんにも考えられなかった、
にわかに目に涙をにじませ、力一杯ハミルを抱きしめた、
「ハミル・・もうはなさない、絶対に寂しいおもいなんかさせない・・・」
『い、、いたいよぉ、アキラ・・・フフ・・うれしい、、ずっと、いっしょだね、』
「ああ・・」
しかし、冷静になって少し考えを巡らせる余裕ができると、
アキラはものすごく重大なことに気づいた、
「ああ!!ど、、どうしよう、、」
『ん?どうしたの?』
「あ・・あのさ、、親に、、なんていったら、、、ハミルだって、、うちで暮らさないと、、
どこにも行くところ無いし、、、そうだ!もう一度帰れたら、行き来できるようななるかも!」
『やだよ!・・・もう・・帰りたくない、離れたくないよ!私が何とかするよ!』
「そ、、そうか、、わかった、でも、試すだけ試して見ようよ、
行き来できたら、きっと便利だよ、」
『う、、うん、、、、』
二人はもう一度抱き寄せ合い、目を閉じて祈った、
しばらくすると、またあたりをあの暖かい光があたりを包んだ、
が、もう何も起こることはなかった、
「やっぱだめか、、ま、これで良かったんだよな、」
『そうだよ、』
「よし!腹をくくっていっちょ紹介と行きますか!!」
『おう!』
ハミルとアキラは勢いよくベットを飛び出した、
と、、、
「うわぁ!!な、、なんでハミルだけ素っ裸なんだよ!!?」
『え?、、、ぁ、、きゃあ!いやぁぁ!!』
ハミルの顔が真っ赤っかに染まった、
アキラは急いで目を背ける、
「ま、、まさかそんな格好であわすわけに行かないよな、、、しかたない、、
俺の服をテキトーに着てくれ、勿論男物しかないけど、、そうだ!今度いっしょに服を買いに行こう!
それまで少しの間がまんしててくれないか?たのむよ」
『う、、うん、びっくりしたぁ、、じゃ、あっちむいてて、』
「あ、ああ、」
急いでハミルはアキラの衣服に身を包むと、二人で二階をおりた、
そのとき、アキラの部屋である変化が起こっていた、、、
「お父さん、お母さん、いるか〜?」
「おお、なんだアキラ、今日は休みじゃなかったのか?」
『ずいぶん早いわね、何かあったの?』
「う、、うん、、、、じつは、、話さなきゃいけないことがあるんだ、、」
「なんだ?」『なぁに?』
ハミルがゆっくりと二人の前にでていった、
『おとうさん!おかあさん!ハ、、ハ、、ハミルっていいます!!よ、、よろしく!!』
気が動転して初対面なのにいきなり考えずに自己紹介なんかをしてしまう、
あわててゆっくりと深呼吸してまじめな顔になった、
父と母も、昨日までいなかった存在がいきなり現れて、驚き目を丸くしていた、
「な、、なんだその女の子は?」
『いったいどこの誰なの?なんでいるの??』
「あ、、の、、、そ、、それは、これには、、深すぎるわけが、、
あぁぁ、、、なんて言ったら良いんだろう、、」
『おとうさん、おかあさん、聞いてください、できればおじいさんもよんで、』
家族全員が揃って茶の間に集まると、ハミルはゆっくりと今までのことを話し出した、
初めてアキラと会ったときのこと、この世界が一度は消え、願いの力で戻って来れたこと、
二人で過ごした日々のこと、あの夜のこと以外の全てことを話した、
『わかってもらえたでしょうか、、』
「お願いだ、ハミルをこのうちにおいてくれないか?どこにも行くことができないし、
もう帰ることも出来ないし、もしかえれたとしても、独りぼっちなんだ、たのむよ!」
『おねがいします!独りぼっちはイヤなんです、、もう帰りたくないいんです、、』
『わたしは、、いいとおもうな、、二人の中も良さそうだし、、どう?お父さん、』
「お、、おれは、、いい、、ぞ、、うん、お、お義父さんは?」
「俺はイイと思うぞ、好きにすればいいさ、ここでダメだといったら酷ってもんだ、」
二人の顔に満面の笑顔の花が咲いた、
「ありがとう!!みんな!」
『有り難うございます!』
「と、とりあえず、ハミルちゃんはいとこって事にしておこう、養子っていうとしじゃ、ないよな、」
『私アキラと同い年です』
『フフフ、でもなんだか可愛くってもっとちっちゃく見えるわ、ま、たしかに養子って訳にもいかないわね、
でも、私達のこと本当のお父さんやお母さんだと思って甘えていいのよ、今まで色々苦労したでしょう、』
「いとこでもなんでもいい、孫が一人増えたんじゃあ大変になりそうだわい」
「いとこってことにしても、俺達の娘みたいなもんだ、アキラとは兄弟って事になるな、
誕生日はいつだい?」
『えっと、、うんっと、、12月の、、二十、、9日です、』
『まぁ!っていうことはアキラの妹になるわね、』
「で、、でも兄弟って感じじゃぁ、ないなぁ、、」
「ま、二人は好きにしてくれ、学校も入れなきゃないんないしなぁ、、忙しくなるなぁ、、」
『とりあえずあとのことは私達で相談するから、アキラとハミルちゃんは二階でゆっくりしてて、』
「わかった、いこう、ハミル、」
『うん♪』
「おっと、アキラ、変なことするんじゃないぞぉ♪」
父がからかうように言った、アキラはドキッとして顔が真っ赤になるのを必至にこらえた、
「わ、わかってるよ!!」
二人は急いで二階にあがり、部屋に入った、
すると、なんと、、昔入り口のあった場所、今はちょうどドア一枚分
あいているその場所に、あるはずのない、見たこともない扉があった、
急いでアキラは母親を呼んだ、
「おかあさーーん!ちょっときてくれ!!」
『なぁにぃ?いきなり、』
トットットットット
「みてくれよ!」
『ちょっと、、なにこれ、、』
『さっきまで無かったのに突然現れたんだよ、なんなのかなぁ』
母はガチャガチャととってをつかみ、ドア引いたりおしたりした、しかしびくともしない、
『う〜〜ん、、、あかない、、だめだね、あきらめよう、いいじゃない、あったって、
ちょっとしたインテリアよ、それじゃぁね、、ふぅ、つかれた、、』
母は二階を降りていった、
「な、、なんなんだ、、このドア、、」
『ねぇ、もう一度試してみたら?』
「う、うん、、、」
アキラがドアに手をかけ、ゆっくりと取っ手をひねると、すんなりとドアが開いた、
『え、、こ、、ここって、、』
そこには二人が初めて夜を共に過ごした場所、あの部屋があった、
二人の祈りは通じていたのだ、
「こ、、これでいつでも行き来できる、、のか?」
『そ、、そうだね、、で、でも!ここにすんで、、、いいんだよね、、、』
「ああ、ずっとこの家に住んでてくれ、いっしょにすごそう、でも、たまには二人で
あっちの世界にも行こうな、」
『うん!』
そのご、二人はいっしょの日々を過ごした、
部屋がない、とのことで二人はアキラの部屋でいっしょにすごし、狭いベットでいっしょに寝た、
幸い別の世界だけあって、ハミルの家に行くとアキラの家には何も聞こえないし、
アキラとハミル以外はこの扉を開けることはできないとのことで、
熱い夜をすごす時はハミルの家にいった、幸いハミルは発育が遅いので子供ができる心配はなかった、
今までの退屈はどこへやら、初めて学校に行き、自己紹介をしたハミルの恥ずかしそうにうつむいた
口から飛び出たアキラの従兄弟で、恋人です、という爆弾発言、
おかげでどんなに学校でイチャイチャしても冷やかされるだけですみ、
可愛いハミルを奪われる心配もなくなった、
ハミルもすっかりこっちの環境になじみ、友達も沢山できた、
突然この世界が消えたあの日、
もっとも愛する人と初めてであったあの日、
ほんの何日かまえのはずなのに、ずっと昔の出来事のようにおもえ、
今さっき起こった出来事のように鮮やかに思い出す、
あの日から全てが変わった、退屈な毎日も、幸せで毎日が楽しみになった、
もう二度とあえなくなってしまう恐怖に襲われたこともあった、
別れが辛く涙するときもあった、でも、今はあの時と同じ笑顔がいつも自分の隣にある、
今日も一日が終わり、また明日がくる、最愛の人といっしょに目覚め、共に時を刻んでいく、
あの日のことがなかったら、いっしょに歩んでいくことはなかっただろう、
あの時あきらめていたら、この幸せを手に入れることはできなかっただろう、
今この時、俺の周りには笑顔に満ちあふれ、幸せでいっぱいだ、
『あきらめないで、願いはきっと、叶うから』
はい、一応完結です、どうでしたか?(^−^;)
自分的にはなんだか尻すぼみな展開になってしまったなぁ、、と、
BBSに感想など書いていただけるとうれしいです(^−^ )
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